|
遺伝子組換え技術を利用して、有形な形質を農産物に導入した遺伝子組換え作物は、消費者や生産者にメリットがあるのみならず、環境保護や食料問題の解決にもつながるものと期待されております。しかしながら、一方で、遺伝子組換えにより予期せぬ特性を持った個体が出現するのではないかという不安を持つ人が多くいることも事実です。開発された遺伝子組換え作物は、食品としての安全性や環境に対しての安全性が評価・審査されます。安全性基準に合格したものだけが市場に流通するわけですが、消費者が遺伝子組換え食品か否かを選択できるように、平成１３年４月より表示制度が導入されました。表示が適性におこなわれているかどうかをモニタリングするためには、科学的な分析方法が必要になります。 株式会社ニッポンジーンは、独立行政法人食品総合研究所を中心に進められているＧＭＯ検知解析研究グループの一員として、遺伝子組換え作物の検知技術の開発を行って参りました。検知技術は大きく分けて、定性検査と定量検査がありますが、現状ではＰＣＲ法を用いたものがほとんどです。そこで、PCR法にはない特徴をもつLAMP法を用いた検知技術の開発を開始しました。 最初に取り組んだのは、平成１２年に社会問題になった除草剤耐性かつ害虫抵抗性の遺伝子組換えトウモロコシCBH351（商品名スターリンク）です。スターリンクは、米国で飼料用としての許可されたのに、日本では食用として流通していたことが世間を騒がすことになったわけです。スターリンクは現在に至るまで、輸入される飼料用トウモロコシについて検査することが義務付けられています。現行では、PCR法あるいはＥＬＩＳＡ法が用いられておりますが、より迅速な検査法の開発が求められています。そこで、このスターリンクをLAMP法による検知法の最初の標的としました。その結果、LAMP法を用いた定性法では、従来のPCR法に比べて検査時間を短縮することができました。この検査に用いるスターリンクを特異的に増幅するプライマーミックスについては、他のトウモロコシやその他の作物では、増幅しないものを設計し、実際に擬似的に作製したスターリンク混入試料を用いて感度を確認してあります。トウモロコシの内在性のスターチシンターゼ�僑癲複咤哭僑癲飽篥岨劼離廛薀ぅ沺璽潺奪�スを用いたＬＡＭＰ反応の結果とあわせて判定します。本件については、3月28日から開催される2005年度日本農芸化学会大会（札幌）にて発表の予定です。 スターリンクの検知試薬については、現在はプライマーミックスを別々に販売しておりますが、抽出から検出までの一連の作業に必要な全ての試薬を含めたキット化を予定しており、ＬＡＭＰ法によるＧＭＯ検知キットの基礎形を構築したいと考えております。また、今後は、スターリンク以外の遺伝子組換え作物の定性検査をはじめ、ＬＡＭＰ法の特徴をいかした検知法を開発したいと思っています。 |
 |